「コミュニティ」がもたらす安心、若葉台を心豊かに生活できるまちへ・認定NPO法人 若葉台

「2025年問題」という言葉をご存じだろうか? 「2025年問題」とは、団塊の世代(1947〜1949年の間に出生した世代)が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達することによって、介護・医療費等の社会保障費の急増が懸念されている問題を指す。

「傘立て」ならぬ「杖立て」が常設されている町

2016年版高齢社会白書(内閣府発表)によると、2015年10月1日現在の高齢者率は26.7%であるが、これが2025年には、30.3%となる。社会保障費負担の増大、介護負担の増大等、決して他人事ではない問題であり、地域住民で助け合って乗り越えてゆくしかない。

若葉台団地特定非営利活動法人「若葉台」(以下、NPO法人若葉台)では、2025年問題に取り組むため「支援の必要な人たちが安心して心豊かに生活できるまち」「福祉のまちづくり」こそがもっとも大切な取り組みである、という考えのもと、地域住民の交流の場づくりや地域貢献事業などを行っている。
NPO法人若葉台が対象としているエリアは、横浜市旭区にある横浜若葉台団地である。横浜若葉台団地は、1979年に神奈川県住宅供給公社が開発した計画人口25,000人のモデル団地である。 住民の高齢化により、2016年3月31日時点の居住者数は14,658人であり、高齢化率は約43.7%(神奈川県住宅供給公社http://www.danchimirai.com/wakabadai.html)と全国平均と大きく上回る。商店街の店頭に、「傘立て」ならぬ「杖立て」が常設されているのが印象的なまちだった。

現在は住民の高齢化が進み地区人口が減少しており、「成年と子ども」が暮らす地域から「高齢者と少数の子ども」が暮らす地域となった。若葉台のまちが創られてもうすぐ40年。多くの住民たちが終の棲家としてこのまちを愛し生活している。
NPO法人若葉台代表の白岩正明さんに、活動内容や課題についてお話をうかがった。白岩さんは公務員退職後に、さまざまな縁があり、NPO法人若葉台の前身となる「障害者居場所作り研究会」を経て、「NPO法人若葉台」を2009年に設立した。

コミュニティを提供する

NPO法人若葉台では、主として高齢者・障害者・子育て世代を対象に、連合自治会・管理組合・まちづくりセンターと協働のもと、以下のような活動を展開している。それぞれが孤立や就労などについて課題を抱えているが、住民らが協力して、適切なコミュニティを提供し、つながりを築いている。

  • 若葉台地域交流拠点・ひまわり
  • わかば親と子の広場・そらまめ
  • 地域交流サロン・ふれあいにし
  • 農業生産事業
  • 高齢者等買い物サポート
  • 居宅介護支援事業

以降で、主な3つの活動について概要を説明していこう。

若葉台地域交流拠点・ひまわり(旧ふれあい・わかば)

葉台地域交流拠点・ひまわりロゴ 2010年、若葉台商店街に主として高齢者向けのコミュニティカフェが開店した。若葉台エリアは約2人にひとりが高齢者という横浜でも特に高齢者率の高いまちだ。したがって、介護や支援を高齢者同士で行う必要がありその交流拠点の役目をなす。

葉台地域交流拠点・ひまわり 外観 若葉台エリアのような団地を中心とした住環境では、ともすれば孤立しがちな環境だ。いつでも集える・いつでも誰かがいるような場所があると、交流が加速する。

「ひまわり」では、地域住民の交流拠点として、お茶やお菓子等の軽食は無料で提供している。また、各世代が興味をもつようなイベントを開催している。

「ひまわり」は、常にボランティアのスタッフと地域住民で賑わっている。インタビュー中でも、白岩さんが来所した地域住民に対してまめに声かけ等対応しており、暖かい雰囲気を感じた。

近年は、高齢者等買い物サポートや、いわゆる訪問介護と呼ばれる居宅介護支援事業も提供している。安価、または介護保険制度を活用したサービスを提供している。

「ひまわり」ではこれまでの福祉的な色合いの濃い活動に加え、コンサートやまちコンも開催するようになった。若葉台に地域密着のスペースを持っていることでさまざまな方面から提案が舞い込んでくる。カフェには、あらゆる世代・多様なバックグラウンドの住民がたずねてくる。そんな環境が、新しい企画を生み出す力になっているようだ。

わかば親と子の広場・そらまめ

わかば親と子の広場・そらまめロゴ 出産直後のお母さんたちはさまざまな心配事を抱えている。孤立し、育児をひとりで背負、ノイローゼになったりうつ病になったりしてしまう方も少なくない。青葉台エリアでは特に子供が少ないこともあり子育てに悩んだ時に相談する相手に困ることになる。

NPO法人若葉台では2014年から、若葉台商店街でそんな子育て世代向けのコミュニティスペースを提供している。ボランティアスタッフから子育て等に関してアドバイスをもらったり、親子でくつろげたり、地域で知り合いをつくることができる。

子育て相談日が設定されており、保健師さん助産師さんを招いた子育てサロンや、若葉台保育園の先生による手遊び、バルーンアートなど、イベントも提供している。

《利用日時》月曜日~土曜日   10:00~15:00
《休館日》日曜日、祝日、夏休み8月お盆期間、年末年始、(臨時休業あり)
《利用料金》・会費:年会費500円、利用料100円(いずれも1家族)

地域交流サロン・ふれあいにし

 2011年から、旧・若葉台西中学校(横浜市旭区若葉台4-34-1)の1室で、地域住民向けのコミュニティサロンを開設している。「ふれあいにし」では、軽食やコーヒーを安価に楽しむことが可能だ。「ふれあいにし」は、若葉台エリアの障害者(障害程度不問)が、地域に住みながら障害の程度に応じて日常生活・社会生活を営む際に欠かせないつながりづくりの場としても機能している。調理スタッフが目配りをしながらも、障害ある人たちがさまざまな創作・生産活動にチャレンジできる「日中の居場所」にもなっている。

2025年を越えて続く町へ

白岩さんは、NPO法人若葉台設立以前に「障害者居場所作り研究会」で活動していた経験がかわれ、若葉台西中学校が閉校した際に活用法を市から相談され、「ふれあいにし」を立ち上げた。

高齢者が急増する「2025年問題」に対し、準備をしていない自治体は、対応が難しいのではないだろうか。NPO法人若葉台は、法人設立から徐々にサービス範囲を広げ、現在の全方位の体制を構築した。今後も、エリア内にある拠点を軸に、高齢者・障害者・子育て世代に対して、コミュニティサービスをより充実していく方針だ。

代表:白岩正明氏 このような活動の広がりは、白岩さんの実直な人柄によるものが多い。若葉台のこれまでの活動実績を知った人たちが、さまざまな相談事を持ち込む。そうした相談に白岩さんは、都度丁寧に対応し、拠点づくりなどのアウトプットを自費・助成金等を用いて着実に実現している。

白岩さんはスペインやスペインワインの大ファンだそうだ。実は、公務員退職後は「スペインに関する事業をやりたかったんですよ」と話す。しかし、それまでのボランティアでの活動実績からさまざまな縁がつながり、現在の体制となったそうだ。

私も福祉関連事業を運営しているが、国が制定する福祉サービスは財源が限られていることもあり、地域の現実とマッチしないことが多々あり、憤りを感じることもある。NPO法人若葉台や白岩さんを支援することで、何か私も役に立てたらと思う。今度は、スペインワインを飲みながらより深い話をうかがってみたいと思う。(取材・文:本杉進也)

寄附・活動についてのお問合せ

認定NPO法人 若葉台

〒241-0801
横浜市旭区若葉台2-9-804
Tel:045-744-7811
Fax:045-744-7812
URL:http://blog.livedoor.jp/himawari2016/

本杉進也プロフィール

1970年生まれ。静岡県出身、横浜市在住。現在、ゲーム業界にて活動の傍ら、実家にて訪問介護事業所を運営。2016年より神奈川県の市民レポーターとしてNPO法人の取材活動を行っている。