女性が自由に生きるために夜間保育で支え続ける「あっとほーむ」

皆さんは「夜間保育」をご存知でしょうか。医療や介護などの仕事をはじめとするシフト勤務や残業等で遅くまで働く親や、その他の事情がある親の子どもを、多くの保育所が閉まってしまう18時前後から預かって保育することをいいます。
認定NPO法人あっとほーむ(横浜市都筑区牛久保西)を訪ね、20年に渡って取り組んでいる保育における3つのこだわり、その中で支持が高まっている「少人数保育」の特徴、そして将来に向けた思いについて、代表理事であり保育士の資格を持つ小栗ショウコさんに話を聞きました。

働く女性のために起業

あっとほーむは夜間保育を中心に、夜間保育を利用した人の要望を受けて始めた「学童保育」事業、働く女性に向けた講演やセミナーを行う「働く女性支援」事業、保育園を起業したい人のためにあっとほーむのノウハウ提供や運営支援を行う「おうち保育園」事業に取り組んでいます。

小栗ショウコさん(前列中央)とあっとほーむスタッフ

創業は1998年10月。小栗さんは小売店に勤めていた頃に夜間まで働いた経験があり、同じような環境で働く女性が子育てするには日中の保育だけでは十分ではないと感じていました。その頃の都筑区は子どもの割合が神奈川県内で最も高かったこと(※1)もあり、夜間保育に特化した許可外保育所の運営に踏み切ったそうです。

その後2002年12月に法人化し、NPO法人になりました。当時、子どもを預かるボランティアによる事故など保育所の問題が続いており、信頼して子どもを預けてくれる利用者や一緒に働くスタッフに安心してもらうために「社会的信用を得たい」と考えた上の判断でした。その後、あっとほーむは、実践的な子育て家庭支援の功績、小栗さんの女性経営者としての取り組みが評価されて神奈川県等から4つの表彰を受け、さらに高い信用を得ています。

保育に対する3つのこだわり

あっとほーむの保育において、利用者に支持されている3つの特徴・サービスを紹介します。

1点目は、一軒家で少人数を対象にしていることです。拠点は、横浜市営地下鉄ブルーライン中川駅に程近い住宅地にある木造戸建住宅で、12畳2部屋、8畳1部屋の3つの保育室と、浴室・トイレ・キッチン・洗面所を備えています。定員は15人と、都筑区の大規模な保育園が100人超であることと比してかなり少数になっています。

子どもたちは小栗さん自らが調理した夕食を食べ、入浴もここで済ませます。その後は家にいるように、自由にくつろいで過ごします。そのため、保護者は帰宅後に家事に追われることなくゆったりとした気持ちで子どもに接することができます。

2点目は、受入年齢と保育時間の柔軟さがあげられます。3~12歳を受け入れ、平日15~21時に開所している保育施設は、都筑区が開示する保育施設の内、わずか4カ所しかありません(※2)。さらに3歳未満、中学生以上や21時以降の延長も相談に応じ、一時預かり・病中病後・宿泊・土日祝・訪問といった各保育にも対応し、あらゆる状況での受け入れに努めています。
これは、「働き続けたいという女性のため、やれることはやろう」と決意した小栗さんの思いから実現されています。保育サービス利用者を対象に、内閣府が実施した調査でも、延長保育・一時預かりの利用が多く(※3、重複回答あり)、世の中のニーズに合った保育を提供していることがわかります。

3つ目は、保育園からあっとほーむまでの「お迎えサービス」です。筆者自身、仕事で多くの子育て中の女性社員と接していますが、止むを得ず残業する際に彼女たちが最も気にするのが迎えの時間です。夜間まで保育してもらえても、保育園からあっとほーむへ移動できなければ迎えの手段を講じなければなりません。信頼できるスタッフが保育園まで迎えにいくサービスを組み合わせることで、安心かつ利用し易い保育になっています。

支持を得る少人数保育

横浜市では希望すれば学校の敷地内にある「放課後キッズクラブ」という学童保育的な「子供の居場所」を利用できます。しかし、あっとほーむの学童保育は希望者が増えていて2017年度、2018年度はキャンセル待ち、2019年度も既に定員が埋まっているほどの人気です。

小栗さんは「放課後キッズクラブのように大勢がいて『わーっ』とする空間で自分の居場所が見つけられない子どもでも、ここでは自由に自分の気持ちを伝えることができるので、楽しんでいます」と、夜間保育と同様の少人数保育であることを、人気の理由の1つにあげています。加えて、4つの小学校から集まった友達と接するので「社会性が育める」と考える保護者がいること、大人の目が行き届くために子どもたちが良くないことをした時には叱ることができ、いじめ等の問題が生じていないことも、要因になっていると言います。実際に見学してみると、確かに子どもたちがお互いにいきいきと話し、楽しくはしゃぐ姿が見られました 。

女性が自由に生きるために支え続ける

最後に20年に渡って事業を続けてこられた理由と、これからの抱負について聞きました。
小栗さんは「初めから『働く女性を支援する、女性が働き続けられるために助けたい』と思って、そのために一番必要だった保育事業を起業し、継続してきた」と言います。そして、その思いはこれから先も変わることはなく「女性は何か言われると精神的に落ち込んだり、諦めてしまうことがある。能力があるのに続けられないのはもったいないので、皆さんの能力を発揮させてあげたい。もっと自由に、自分の好きなように、自分らしく生きられる選択肢を提供し背中を押したい」と熱心に語っています。
今後は、働く女性向けのセミナーや講演会について、イベントで実施するだけでなく自ら場を作って積極的に発信し、働く女性支援事業にも一層力を入れていくそうです。

寄付のお問い合わせ

あっとほーむは、企業等から助成金や人的支援などの支援給付を受けて積極的に資金等を調達していますが、寄付はまだわずかです。2018年にはAmazonPayやクレジットカード(一括、継続課金)といった簡単に寄付できる仕組みを整備しました。働く女性を支えたい方、その思いに賛同される方はぜひサポートをお願いします。子どもたちから感謝の気持ちが届きます。
寄付について詳しくは、以下URLを参照ください。

認定NPO法人 あっとほーむ
住所:神奈川県横浜市都筑区牛久保西3-2-7
電話&FAX:045-911-9502
(電話は平日13:00~21:00)
メール:npoathome@www.npoathome.com
URL:https://www.npoathome.com/contribution.html

※1「都筑区統計要覧平成11年」(都筑区役所) p.2年間区別人口増加数及び増加率、p.6神奈川県年齢別人口統計調査(1)年少人口(0~14歳)の比率 参照
http://www.city.yokohama.lg.jp/tsuzuki/soumu/pdf/11toke00.pdf
※2「都筑区保育施設・幼稚園一覧 平成30年10月12日現在」(都筑区福祉保健センター こども家庭支援課) p.12届出済認可外保育施設 参照
http://www.city.yokohama.lg.jp/tsuzuki/kodomo/hoiku/pdf/31-enichiran.pdf
※3「子ども・子育てビジョンに係る点検・評価のための指標調査」報告書(概要版)平成25年3月(内閣府政策統括官(共生社会政策担当)) 第2章 調査結果 Ⅰ.子育て全般について 3.保育サービスについて 現在利用している保育 参照(P21)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa24/shihyo/pdf/gaiyo.pdf

(取材・文責:安田 純)

安田 純(やすだ じゅん)プロフィール

平塚市生まれ、川崎市在住。これから少子高齢化していく日本にはNPOの活動が大きな役割を果たすと考え、その実態を知るために2017年からNPOレポーターとなる。趣味のランニングと仕事の合間を縫って取材活動に奔走しています。