次の世代に、800年の伝統を。・特定非営利活動法人小笠原流・小笠原教場

「次の世代にいかにして伝統文化を伝えるのかが大切です。」そう語るのは、特定非営利活動法人小笠原流・小笠原教場の理事長の小笠原清基さんだ。

今回筆者は、神奈川県かにゃお認定レポーターとして、小笠原さんに特定非営利活動法人小笠原流・小笠原教場について話を聞いた。

3歳で稽古を始め、小学5年で流鏑馬神事の射手を務める。大阪大学卒業、筑波大学大学院博士課程修了(神経科学博士)。「家業を生業にしない」という家訓により製薬会社に勤務している。

特定非営利活動法人小笠原流・小笠原教場とは

小笠原家は、初代小笠原長清に始まる「清和源氏」の家系だ。鎌倉幕府成立時から江戸幕府崩壊までの間、将軍家の師範として礼法(武家礼法、お辞儀などの基本の動作やお茶の出し方など)・弓術・弓馬術(流鏑馬、馬に乗りながら矢を射る)を伝えた。明治維新による武家社会終焉以後も代々伝統を継承し、現宗家が31世にあたるという。

現在、小笠原流は鶴岡八幡宮などの神社で神事を行うほか、小笠原流体験教室も行っている。

なお、神事を行う「本部」にあたるのが「弓馬術礼法小笠原流」で、神事の支援や体験教室を取り持つのが「特定非営利活動法人小笠原流・小笠原教場」だ。この記事では、混同を避けるため、以下では前者を「小笠原流(本部)」、後者を「NPO法人小笠原流・小笠原教場」とする。

NPO法人の設立目的、理念

NPO法人小笠原流・小笠原教場の設立目的は、小笠原流(本部)の活動支援だ。

当初、小笠原流(本部)は任意団体であったが、任意団体では契約が結べないなど、デメリットがある。このため、NPO法人を設立して「次の世代に日本の伝統文化を伝える」ことを柱として活動を開始した。

 活動内容

主な活動内容は、社会人はもちろん子供やその保護者、外国人などを対象とした教室などを開催し、小笠原流の普及すること。例えば「今からでもはじめられる礼法教室」を第2・第4水曜日に東京都千代田区の「万世橋出張所・万世橋区民会館」で開催している。(詳細は末尾記載のURL参照)

このような活動をするために、道具や稽古場の整備、および指導をする門人の育成が必要となるが、これらもNPO法人小笠原流・小笠原教場が行っている。

また、小笠原流(本家)が取り持つ行事に必要な道具も提供している。

活動のやりがい

今まで、伝統文化に触れようと思う人は50代以降の人たちが多かったという。しかし、技術面や人格形成の面から考えると「文化に触れることは若いうちから始めたほうが良い」と小笠原さんは話す。

武家礼法をはじめとした小笠原流の伝統文化を若い世代に知ってもらう、実際にやってもらうということがこれまでは簡単ではなかったが、NPO法人設立によって、円滑に普及啓発活動や後進育成に力を入れられるようになったことが「大きなやりがい」だという。

また、未経験者に伝統文化を経験してもらうにあたり、教室を指導する門人を支援している。これにより、門人の技量や行事の質が上がったこともやりがいの一つだそうだ。

課題

NPO法人小笠原流・小笠原教場にとって、今後の課題は、2つ挙げられるという。

1つめは、広報力の不足だ。どんなによいことをやっていても、それが人々に伝わらなければ意味がない。
2つめは、事務局体制の整備だ。活動の良さが伝わり、広まったとしても、現在、依頼や問い合わせに対応する人的な体制がまだまだ整備されていないことが課題だ。

これまで、武道などの流派は、自分たちの技をしっかりと稽古しそれを行事などで発揮するという「稽古による自己研鑽」さえすればよかった。しかし、これからの時代はそれだけでは流派として存続できない。外部へ、その価値をアピールしていかなければならないが、広報力・対応力ともにまだ十分でないという。

今後は、経済的支援だけでなく、NPO法人小笠原流・小笠原教場の会員(詳細は後述)に広報や問い合わせの対応などに協力してもらう体制を作っていきたいということだ。

(取材・文:藤澤 卓)

寄附・活動についてのお問合せ

NPO法人小笠原流・小笠原教場では、会員および寄付を募集している。

もちろん会員特典や寄付による税制上の優遇措置はあるが、これまでに入会や寄付をした人は、見返りというよりは「800年以上続いている伝統文化を一緒に後世に伝えていきたい」という意思を持っている人が多いということだ。

詳細は、NPO法人小笠原流・小笠原教場のホームページ(http://www.ogasawara-ryu.gr.jp/)を参照。

連絡先:
特定非営利活動法人小笠原流・小笠原教場
〒251-0037 神奈川県藤沢市鵠沼海岸2-17-4
TEL : 0466-34-4089  FAX : 0466-34-4102
E-mail :サイトのフォームから(http://www.ogasawara-ryu.gr.jp/NPO/index.html
Web site : http://www.ogasawara-ryu.gr.jp/

藤澤 卓(ふじさわ たく)プロフィール

1995年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学政治経済学部に在学中。専攻は産業エコロジー。
県政への興味から、神奈川県かにゃお認定レポーターに応募。県内のNPO法人を取材している。