世界の飢餓解消を目指し、支援の輪を広げる・認定NPO法人 国際連合世界食糧計画WFP協会

個人と企業の関心掘り起こす多様な活動を展開

今、世界では9人に1人が飢餓に苦しんでいる。その原因は、自然災害・人的災害・政情不安・経済成長の低迷など多岐にわたる。(出典『The State of Food Insecurity in the World 2015』FAO/WFP/IFADより発行)この問題を解決するための活動を行っている特定非営利活動法人 「国際連合世界食糧計画WFP協会」(横浜市西区みなとみらい、以下国連WFP協会)を訪問し、その活動について事務局長の鈴木邦夫さん、事業部ゼネラルマネージャー小寺祐二さん、事業部広報マネージャー外岡さん、事業部瀬上倫弘さんの4人にお話を聞いた

事務局長 鈴木邦夫さんと事業部 瀬上倫弘さん

事務局長 鈴木邦夫さん(写真右) 事業部 瀬上倫弘さん(写真左)

国連WFP協会

特定非営利活動法人 国際連合世界食糧計画WFP協会

特定非営利活動法人 国際連合世界食糧計画WFP協会

国連WFP協会は、国連WFPの活動に関心を持つ民間企業・団体・個人を対象とする中間支援団体として1999年に設立された。「飢餓問題の解決」を目指し、寄付支援活動を行っている。
支援は大きく「緊急支援」「復興・開発支援」「学校給食支援」「母子栄養支援」の4つに分けられ、2015年は約9億円を寄付金支出している。

 

 

 

飢餓の現状と今後の目標は

事務局長の鈴木さんは「飢餓問題の一番の原因はその国の経済、つまり貧困にある」と考えており、貧困の原因を根本から解決することが飢餓問題の解決につながると主張する。
4つの支援の中のひとつの「学校給食支援」は、貧困の負のスパイラルから子どもとその家族の飢餓状態を救うとともに、将来の雇用につながる「教育」の機会を提供する一石二鳥のプログラムだという。
学校に行くと無料で給食が食べられるという仕組みは、本人とその家族にとって大きな通学のモチベーションになっている。学校に通い、適切な教育を受けることは、適切な仕事に就いて労働報酬を得て、安定した生活を送ることにつながり、貧困の原因を根本から解決することにつながる。鈴木さんは「寄付金30円で、1人1日分の学校給食を提供できる」ことをもっと知ってもらいたいと語る。

2000年の連総会で「2015年までに世界の飢餓を半減させる」というミレニアム開発目標が議決された。この目標に向かいその活動は強化された。その結果、この15年間で飢餓人口比率は半減し、目標は達成された。要因として、近年の中国や東南アジア諸国の経済発展が、飢餓人口比率の減少に大きな影響を与えたといえる。
国連WFP協会が2002年から2015年の14年間に拠出した寄付金の総額は約52億円に上る。(出典:国連WFP協会HP財務諸表)
鈴木さんは「国連WFP協会としても少なからず役割を果たした」と胸を張る。
しかし、改善の方向にあるというものの、2015年に食糧を支援できた人数は8,000万人。世界の飢餓人口は7億9500万人。まだまだ支援が足りないというのが現状だ。
そして2015年9月、「世界を変えるための17の目標」が国連総会で承認され、食糧分野において2030年までに「飢餓をゼロにする」という高い目標が設定された。鈴木さんは「ミレニアム開発目標が達成できたという実績は、この高い目標を実現可能なものにする」と目標達成に自信をのぞかせる。

しかし、それには多くの方々の支援が必要とも語った。より多様な民間セクターを巻き込んだ活動が期待されている。それでは、具体的にわたしたちがこうした子どもたちを支援するアクションにはどのようなやり方があるのだろうか?

国連WFP協会の寄付比率は企業が約40%、個人は約50%。企業からの寄付比率の高さは、NPO法人の収入構造の中では特筆すべき点だ。

事業部ゼネラルマネージャー 小寺祐二さん

事業部ゼネラルマネージャー 小寺祐二さん国内の企業・団体、個人へ寄付支援依頼を担当する事業部ゼネラルマネージャー・小寺祐二さんは企業からの支援金が活動の財務基盤を大きく支えていると語る。

その基盤を維持するために様々な企業に支援依頼をしているわけだが、やはりそのアプローチ先としては「食」に関する企業がその中心になっている。
もちろん、訪問してもすぐに寄付をしてもらえるわけではない。企業ごとに体制や考え方が違い、何度も何度も訪問して、粘り強く「世界の飢餓の状況」を視点を変えながら説明することで支援の重要性を理解してもらっていると小寺さんは語る。小寺さんやスタッフのこうした粘り腰が企業支援の実績に大きく貢献している。
食品廃棄、食品ロスなど「食」に関する企業にとって耳の痛い問題についても目をそらさずに向き合っている。この問題は、企業側だけではなく、消費者側の意識に起因する部分も多分にあり、多面的にとらえる必要があると小寺さんは考えている。

今後の方針としては、引き続き企業に対して寄付を呼びかける一方で、支援の輪を拡大する上で重要な役割を持つ個人支援者からの寄付を増やす施策にも力を入れるという。
具体的な施策として、2016年6月から「FOODeliver(フーデリバー)」というスマートフォンアプリをスタートした。これまで主流だったダイレクトメール、ウェブ広告、街頭募金活動ではつながれなかった若年層への訴求ツールとして開発されたこのアプリは「世界の緊急事態情報発信」「緊急食糧支援情報発信」「オンラインでの寄付」などの機能がある。小寺さんは「個人支援者の増加」と若い世代への関心を喚起するきっかけとして期待をしている。

2030年の目標達成に向けて、多くの人と巻き込むために

「2030年までに飢餓をゼロにする」という新たな目標を達成するために同協会が重視しているのが、広報活動だ。事業部広報マネージャー 外岡瑞紀さんはメディアとイベントの双方を活用して飢餓の状況、その解消のために私たちができるアクションについて発信を続けている。

事業部広報マネージャー 外岡瑞紀さん

事業部広報マネージャー 外岡瑞紀さん

基本的な広報としては、テレビ・新聞などのマスメディア、ウェブサイト、SNS、パンフレットなどの印刷物を通して情報を発信している。
また、学校・企業での講演活動、グローバルフェスタなど各種イベントでのブース出展などダイレクトな情報発信も行っている。
そして従来の広報戦略とはひと味違う大型参加型イベントを企画し、多くの人を巻き込む成果を挙げつつあるという。その1つが「ウォーク・ザ・ワールド」というチャリティウォーク(5月横浜開催)だ。
参加費の一部が学校給食プログラムに寄付される仕組みになっており、2016年は横浜開催4,658人、初開催の大阪が1,263人、合計で57万5,400円の寄付が集まり、18万5,000人の子供たちに給食を届けることが出来たと外岡さんは目を輝かせた。
参加型企画の2つ目はエッセイコンテスト「ぼくの私のちからメシ」(7月~9月募集、10月表彰式開催)だ。
「食」をテーマとしたエッセイを募集し、応募1作品に対し、30円が協力企業から寄付されるという仕組みになっており、今年は、14,659通の作品が寄せられ、4社の協力企業によって、175万9,080円の寄付が集まり、5万8,636人の子供たちに給食を提供するなど成果を挙げている。
こうしたさまざまな手法で、日本国内の企業や個人に情報を発信している同協会だが、飢餓問題は遠い国の課題だととらえる傾向が強く、関心が低いのが課題だという。広報に携わる外岡瑞紀さんは「いかに身近な問題として、自分ごととして意識してもらえるのか、その方法を日々考えているが、そこが一番難しい」と痛感している。同協会の活動の根幹部分でもある広報活動は、日々の課題と向き合う外岡さんとスタッフの大きなモチベーションとトライアルによって支えられている。

国連WFP協会は、世界の飢餓問題に対して緊急支援、復興・開発支援、学校給食支援、母子栄養支援の寄付金拠出というかたちで貢献している。
私たちにとって飢餓問題は遠い国の話としてとらえられがちだが、その現状と国連WFP協会の活動を知ることは、日々の暮らしの豊かさと、日常の大切さを知ることにつながる。平和な日々の裏側にある現実に目を向けることは、持続可能な社会の実現を可能にしてくれるひとつの方法論になることなのかもしれない。
(取材・文:菊地保宏)

【関連リンク】
▽国連ミレニアム開発目標
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/mdgoverview/mdg_1/
▽世界を変えるための17の目標 sustainable development GOALS
http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/
▽国連WFP学校給食プログラム
http://ja.wfp.org/activities/hunger/school-meals
▽ハンガーマップ
http://ja.wfp.org/sites/default/files/ja/file/hungermap2015.pdf

寄附・活動についてのお問合せ

認定NPO法人 国際連合世界食糧計画WFP協会

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菊地保宏プロフィール

1965年生まれ。北海道出身。横浜市在住。大学卒業後、中堅広告代理店に入社。
20代で広告代理店を4回転職、30代で1社に落ち着き、40代で独立。
様々なメジャーアーティストのCD発売プロモーションを数多く手掛ける。
2016年より神奈川県の市民レポーターとしてNPO法人の取材活動を始める。