河北新報記者 寺島英弥さんによる『走れ!移動図書館』著者 鎌倉幸子さん公開インタビュー

 さくらWORKS〈関内〉で1月26日(日)、 「ラボ図書環オーサートーク vol.17」が開催された。

 話題の著者・編集者を招いての「ラボ図書環オーサートーク」は、横浜コミュニティデザイン・ラボのプロジェクト「ラボ図書環」が主催し、これまでも本と人のつながりなどをさまざまな形で発信してきた。

今回お話しされたのは、東北3県で移動図書館を展開する、シャンティ国際ボランティア会広報課長の鎌倉幸子さん。その活動の軌跡をまとめた『走れ!移動図書館~本でよりそう復興支援』(鎌倉幸子著・ちくまプリマー親書208)が、1月7日に発売されている。

著書に込めた思いについて、東日本大震災直後から東北の方々に丁寧に取材を続けている河北新報記者・寺島英弥さんをインタビュアーに迎え、トークイベントが催された。

今回のインタビューで伝えたいことは、被災した地になぜ移動図書館を設立したのかということ、そしてここへ至るまでの、鎌倉さんの思いだと言う。

「支援として本は本当に必要なのか? いや、こんな時だからこそ必要なはず。子供たちは震災のショックで自分の言葉を失ってしまった。その言葉を取り戻すお手伝いをしたい。」

また、この本を出版した理由について、「移動図書館の活動を詳細な記録として残し、公開するため。記憶は記録に残していかなければどんどん忘れていってしまう」と語る。

インタビュアーの寺島さんは、移動図書館で被災各地を回っているときに、借りた本を返そうとする人に出会ったという。「被災したという極限の状態でも約束を守る人がいることを知った。それがきっと失われた日常を取り戻すきっかけになる。」

2人の対談を通して、見えてきたもの。

それは被災して心に傷を負った子供にとって本を読むことは、辛い日常から離れて、自分の世界に入る大切なきっかけになるということ。そして失った言葉を取り戻すことにもつながっているのだ、ということ。

その可能性を届けてくれたことが、著者 鎌倉幸子さんの最大の功績なのではないだろうか、と感じる。

移動図書館の今後の活動について、鎌倉さんは、「読みながら、体を動かす、声に出す、紙に書くといった機会も提供してゆきたい。」「日本の社会はどんどん不透明になってきている。東北の子供達は今回の震災で常識が一変する出来事を経験した。この子供たちがこの不透明な日本を変える担い手になるのではと思う。そのお手伝いができれば。」と語る。

また、ゴールは移動図書館の活動自体がなくなることだともと言う。 本を読む文化が被災地にもう一度蘇ること。それが本当のゴールなのだろう。「表現はこれからの時代の剣になる。衣食住は手段にはなるけど目的にはならない。本は手段にもなるし目的を見つける道具にもなる。生きる目的が見つかるまで何回でも借りにきてほしい。また図書館員は、これからの未来を想像して本を選ぶことが大切。」そう、寺島さんは締めくくった。

※鎌倉幸子さん
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA) 広報課長兼東日本大震災図書館事業アドバイザー

▽走れ東北!移動図書館プロジェクト http://sva.or.jp/tohoku/

▽ブログ「本を片手に、どこまでも。」 http://ameblo.jp/1192-sachiko/

 

※寺島英弥さん
河北新報編集局・編集委員

▽河北新報連載記事「ふんばる」http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1070/20131114_01.htm

▽ブログ「Cafe Vita 余震の中で新聞をつくる」 http://flat.kahoku.co.jp/u/blog-seibun/

著書 『悲から生をつむぐ 「河北新報」編集委員の震災記録300日』http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2175661

『東日本大震災 希望の種をまく人びと』(明石書店)http://www.akashi.co.jp/book/b108493.html