コミュニティで支えるまちのオーケストラ NPO法人「湘南フィルハーモニー管弦楽団」が定期コンサートを開催

好天に恵まれた3月11日、NPO法人「湘南フィルハーモニー管弦楽団」が、藤沢市民会館(藤沢市鵠沼東8)大ホールで第38回コンサートを開催しました。前日のゲネプロ・コンサート当日・翌週の反省会を取材し、コンサートに臨むオーケストラの様子を伝えます。

観客と一緒につくる一体感

前売りチケットが1,000枚ほど売れていたということで、当日は開場前から来場者が集まり長蛇の列となりました。会場には、前回の売り上げの寄付先である「公益財団法人日本補助犬協会」のブースが設置され、盲導犬が来場者とコミュニケーションしてその活動をアピールしていました。

この日の入場者数は1,141人、2階席までほぼ満席となり、いよいよ開演です。

最初に団長である佐藤正也さんから「今回は難曲に取り組んできました。コンサートはお客様と一緒に創るもの、2時間弱になりますが、よろしくお願いします」と挨拶がありました。当日は3月11日だったため、挨拶の冒頭で東日本大震災の被害者に1分間の黙祷が捧げられました。また、会場には募金箱も設置され義援金が集められていました。

コンサートは、第一楽章「海」がCMなどにも使われていて馴染みのあるグリーグ/ 「ペール・ギュント」 組曲 第1番 作品46からスタート。2曲目のシベリウス/ バイオリン協奏曲 ニ短調 作品47は、指揮者の清水謙二さんが前日のゲネプロの際に「プロのオーケストラが演奏しても全体のアンサンブルが難しい」と話し、入念に最終チェックをしていた難曲で、1曲目に比べて緊張感のある演奏になりましたが、ソリスト小野唯さんの力強いバイオリンソロが観客を魅了しました。

その後、小野さんはアンコールを受けてロカテッリ「音楽(和音)の迷宮」を演奏し、会場中から拍手を受けてコンサートの前半を締めくくりました。

20分間の休憩では、顔見知りの来場者が一部の団員と楽しそうに談笑する姿がみられました。これはコンサートの慣例になっていて、「演奏者と観客」の距離の近さが表れた湘南フィルハーモニー管弦楽団ならではの風景です。

後半は、今回のプログラムのメーンであるリムスキー・コルサコフ/ 「シェエラザード」 作品35が演奏されました。

アラビアンナイトに出てくる美しい女性シェエラザードが語り部となり王様に色々な話を聞かせるという物語の中の音楽で、シェエラザードの語りがバイオリンのソロという形で随所に散りばめられている曲です。コンサートマスター大宅一哉さんの繊細な演奏により会場中が美しいメロディを堪能しました。

一方で、大宅さんが本番前に「この曲は10年くらい前に団員から演奏したいという声があがったが、難しい曲で当時の力では演奏できなかった。やっとここまで辿り着いた」と話していた通り、バイオリンソロ以外の部分も、オーケストラ全体の一体感がある演奏で、各々の団員がのびのびと楽しそうにしているのがとても印象的でした。

アンコールとしてシベリウス/ カレリア組曲より「行進曲風に」が演奏されました。前日、当日午前中の直前にはほとんど練習していなかった曲ですがシェエラザードと同様に、オーケストラ全体の一体感がある素敵な演奏が披露されました。

多くの人に支えられ、多くの人を楽しませる活動

前回(2017 年11月)練習を取材した時と比べ、今回、コンサートの様子から気づいたことがありました。それは「コンサートは団員以外の多くの人に支えられて初めて実現できる」ということです。

指揮者、ソリストに加え、団員だけでは補えない楽器を演奏する賛助メンバー、ステージマネージャーを務める近隣のオーケストラの仲間、ボランティアや観客としてオーケストラを助け見守る友人…。コンサートの成功はこうした人々の存在抜きにはあり得ません。佐藤さんが「コンサートはお客様と一緒に創るもの」と挨拶したのは、団員がひたむきに演奏するだけではなく、そういった支えになる人たちと共にコンサートを創るという意味なのでしょう。

オーケストラを支える人たちは、団員がのびのびと音を紡ぐ姿やひたむきな演奏を楽しむことができます。一方、団員はサポーターである地域の人たちが一緒にコンサートを創り、応援することで、演奏することを楽しめます。NPOとして設立趣意書に掲げる「私たちが音楽を演奏することを楽しみ、その演奏を多くの方々に楽しんでいただく」という方向性が、シンプルに実現されていることが分かるコンサートでした。

【編集後記】

終演後、家路に着くお客様を眺めていて、大勢の方々がにこにことして会場をバックに写真を撮ったり談笑したり、本当に楽しそうにしている様子が印象的でした。1年後、また足を運んで「楽しさ」を味わいたいと思います。

(取材・文責:安田 純)

活動のお知らせ

湘南フィルハーモニー管弦楽団のバイオリン教室が来年2019年4月から開催されます。

第5期 湘南フィルヴァイオリン教室
◇期間 2019年4月~2023年3月(4年間)
◇曜日 火曜日午前10時~午後12時(原則月3回 年間34回)
◇場所 茅ヶ崎市民文化会館他
◇会費 月額5,000円(予定)
◇講師 小野 唯(桐朋学園大学音楽学部卒)
井神麻友子(桐朋学園大学音楽学部卒)
◇説明会 2019年3月12日(火曜日)午前10時~
茅ヶ崎市民文化会館第1会議室
※対象は初心者です。オーケストラで演奏することを目指しますが、将来の入団を前提条件とはしません。

◇問い合わせ
事務局 080-5914-9649
Emailnposhonan@gmail.com
URLhttp://shonanphil.web.fc2.com/