子どもから高齢者まで、地域みんなのもう1つのおうちーNPO法人びーのびーの

横浜市港北区篠原町に建つ木造平屋建て、92平方メートルの広い庭の一軒家。中を覗くと、お散歩から帰ってきた子ども達が庭で遊んでいたり、高齢者が健康体操をしたり、学生ボランティア達が食事を運んだり、さまざまに時を過ごしています。子どもから高齢者まで、一緒に過ごせる場所、それが「COCOしのはら」だ。どんな施設なのか訪ねてみました。

初めて挑戦する「多世代対象」の交流スペース

NPO法人びーのびーの(以下びーのびーの)は、活力ある地域社会を作り出そうと、横浜市港北区を中心に「みんなで子育てする環境づくり」に取り組んでいます。

2017年4月、新たに、子どもから高齢者まで世代を超えて気軽に立ち寄ることができる地域福祉交流スペース「COCOしのはら」を開所しました。

2000年におやこの広場を開所してから、17年間ずっと子育て環境に向き合ってきたびーのびーのが、今回初めて高齢者にも目を向けてつくった場所が「COCOしのはら」です。

「港北区には地域子育て支援事業や地域ケアプラザ等はありますが、このように世代を超えて交流できる民間スペースはまだあまりないと思います。」話してくれたのはCOCOしのはらの代表・斎藤靖子さんです。

地域のみんなのもう一つのおうちになりたい

COCOしのはらでは、幼稚園・保育園入園前の子どもを対象とした「預かり保育まんま~る」、高齢者向けの「健康体操・コーラスの会、スマホ講座等の定期イベント」など、たくさんの企画を展開しています。

「はじめは、びーのびーののスタッフの中から講師を探して企画を作っていきました。しかし今では、COCOしのはらに来てくれている人が『こういう講座ができるよ!』と手を上げてくれたり、交流の中で趣味の話からイベントが立ち上がったりすることも増えてきました。地域の人たち同士で作り上げていく流れができつつあります。」斎藤さんは嬉しそうに話してくれました。

また、特徴的なのは誰でも利用できる「ごちそうさん食堂・COCOカフェ」の実施です。食堂やカフェがあることで、イベントに参加しない人も「お茶を飲みにきた」と、フラッと立ち寄りやすくなります。

そこに子ども達の笑顔がプラスされれば、自然と明るい交流の場となります。高齢の方の孤食化の対策や、野菜たっぷりの食事の提供により健康づくりにも目を向けています。

COCOしのはらは、世代を問わず、地域住民が自然と集まり、話をしたり食事を共にしたり、趣味を楽しんだりしてのんびりと過ごすことができる「もう一つのおうち」を目指しているのです。

つくっていかなければいけないという使命感

斎藤さんにこの施設を運営するやりがいを聞いてみました。

「やりがいというよりも『やらなければいけない』という思いが強いです。必要だから、もっと認知されて、もっとたくさんの人が当たり前に利用できるように、今私たちが作っていかなければならないと思うのです。」と斎藤さんは力強く語ってくれました。

地域のつながりづくり・子育て中の親たちの手助け・高齢者の健康づくりや孤食対策・多世代交流など、色々な役割を担っているCOCOしのはら。今はまだ、全てが試行錯誤だといいます。スタッフだけでなく利用者の方に意見を聞きながら形を作っている段階です。

「自分が年を取った時に、自分自身の過ごしたいと思える居場所の1つとなるように、今後につなげていかなければならないと思います」という、斎藤さんは「自分ごと」としてこの場の運営をとらえています。

社会の課題に向き合い続ける

2017年の介護保険法の改正によって「介護予防・日常生活支援総合事業」が開始され、横浜市でも整備が進められています。この事業の一環として、横浜市は高齢者の介護予防や生活支援を充実・強化するための「介護予防・生活支援サービス補助事業」を開始しました。

この事業は、高齢になっても、住み慣れた地域で支援などを受けながら、その人らしい自立した生活ができる地域づくりを目指しています。

COCOしのはらは、この事業の「横浜型通所型支援」の補助対象団体に採択され、2017年10月から活動を実施することとなりました。介護保険における要支援者等への支援も含め「集まっている地域の人たち同士が助け合って健康的に過ごせる場所をつくっていきたい」という思いがきっかけだといいます。

斎藤さんは「当初はこちらを『元気な高齢の方が気軽に来られる場所』と考えていました。しかし、今後高齢化が進むにつれ、要介護・要支援の認定を受ける人は増え、逆に介護に携わる資格者が足りない状況になっていくことが予想されます。そんな時に、まさに地域の人たちも一緒に、助け合いながら暮らしていく、こういう場所が今後もっと必要になると思い、COCOしのはらで取り組んでいくことを決めました。」と語ってくれました。

今までにない事業を立ち上げ、取り組んでいくことは本当に大変です。2000年に商店街の中に民間の力でおやこの広場を立ち上げたNPO法人びーのびーのは、未就園児を育てる親自身による「地域の子育て支援」という考え方を生み出した先駆者として、開拓してきました。

「困難は多いけれど、今後も世の中の流れに目を向けながら、様々な課題に取り組んでいきたいです」と、斎藤さんの目からは固い決意がうかがえました。

(取材・文責:貞包絵里奈)

寄付・活動についてのお問合せ

地域福祉交流スペース COCOしのはら

〒222-0026
横浜市港北区篠原町1077
電話:045-716-9875
E-mail:cocoshino@bi-no.org

NPO法人びーのびーの 事務局

〒222-0037
横浜市港北区大倉山2-7-47シャトレ大倉山103
電話:045-540-7422
URL:http://www.bi-no.org/

貞包絵里奈 プロフィール

福岡県出身で大学時代から都内に住んでいたが、出産を機に横浜へ。初めての土地で初めて子育てをし、地域の子育て支援サービスの有り難さを実感する。1年間の育児休暇中に何かできることをしたいと思い、市民レポーターの活動に賛同した。