次世代を担う子どもたちが幸せに暮らす未来のために~青葉区から発信するエコロジー 

NPO法人森ノオト

NPO法人「森ノオト」は、横浜市青葉区の子育て世代の女性たちを中心に、未来を見据えた街づくりを行っている団体です。

地域に住む生活者向けに、子連れが可能な映画の上映会や、先輩の母たちによるエリア案内、子ども服を中心としたフリーマーケット、農業に携わる女性たちを講師に招いた地産地消を学ぶ講演会、自宅で省エネに取り組むためのDIY講座、捨てられる布を再利用して作った小物の販売などさまざまな取り組みを行っています。

また、企業とともに、メンバーの視点や強みを生かした企画を提案してセミナーを共催するとともに、柔らかい感性を生かしたチラシや書籍の制作なども請け負っています。

生活感度が高い女性たちが中心

その多岐に渡る活動の土台を担っているのが、生活感度が高く、環境問題に関心を持つ子育て世代の女性たち。編集長で、法人理事長を務める北原まどかさんを筆頭に、35人の女性ライターが生活者の目線で、主催・共催のイベント情報はもとより、地域の店舗や人を紹介するインタビュー記事などを発信しています。

団体名と同じ名称の「森ノオト」というウェブマガジンが創刊されたのは2009年でした。2017年は、約250本の記事がアップされているほど、発信は豊かになっています。

NPO法人設立以前は、北原さんの個人事業という形態だったこの発信事業。もともとは、北原さんが出産・子育てをきっかけに、働き方を見直すなかでスタートしました。

「ビジネスにしよう」と思っていなかった北原さんでしたが、活動を始めた後から原稿の添削や取材、サーバーの維持などに「費用が必要だ」と気がついたそうです。そこで、当初は地元工務店にかけあって、スポンサーになってもらうことができました。

少しずつ、共感の輪が広がり、関わるリポーターの人数が増えていきましたが、転機はやはり2011年の東日本大震災でした。原子力発電所の事故、身近な地域での停電など、自分たちが使うエネルギーと向き合わさざるを得ない大きな出来事を契機に、エネルギーの「地産地消」に、メンバーの関心は傾いていきました。

その後、2013年にNPO法人を設立。以後、行政や企業とも積極的に連携し、その活動は青葉区の子育て世代に留まらず、市内各所に徐々に範囲を広げながら、丁寧に暮らしていきたいという人たちの欠かせない情報発信・創造の拠点として成長し続けています。

自然も人も「豊かな区」あおば

代表の北原まどかさんは、青葉台で暮らす魅力に、緑の多さと地域に根差したお店の存在を挙げています。

ここで森ノオトが拠点としている青葉区について、データで概観してみましょう。同区は、横浜市の北西部に位置し、1994年に区として制定された比較的若い地域です。

青葉区がまとめている「なるほどあおば2017 データで見る青葉区」によると、街路樹数と公園の数が、横浜市内では最も多く、販売を目的とした大豆と小麦の作物別作付農家数、並びに販売目的で栽培した柿やいちごの作物別栽培農家数も市内第1位。

区の中央部を流れる鶴見川に沿って田園風景の残る自然豊かな土地でもありながら、道路や鉄道によって都市へのアクセスの利便性も高い点が特徴となっています。

約35.06平方キロメートルに約31万人が暮らしており、どちらも、市内第2位と、存在感があります。このうち年少人口(15歳未満)が422,803人と横浜市18区内で第2位、出生児数は2,464人(第3位)で、「若い区」といえるでしょう。

そして、納税者1人あたりの個人住民税額が346,449円と、こちらも横浜市内で第1位となっており、豊かな暮らしをしている人が比較的多い傾向にあります。

2016年度青葉区民意識調査によると、食事に気を遣ったり、健康に関心をもつ人の多さや青葉区に住み続けたいと答える人が8割以上と、概ね生活に満足感を得ていることがわかります。

こうしたデータからみても「生活意識が高く、子育て中の若い女性たちが、社会活動に目を向けやすい地盤は整っている」といえます。

しかし、意識調査のなかで、34.9%の人が近隣住民とのつきあいの希薄化、子どもが安心して遊ぶ場や災害に対する備えの不足が青葉区の課題として挙げられています。

「地域から地球の未来を考える人」の輪が広がる

こうした特徴を持つ青葉区で、北原さんは仲間とともに記事を発信し続けています。自身も取材を受ける機会が増え「ローカルメディアでありながら、その活動が多くの媒体で紹介され、認知度が上がっているのを実感している」といいます。

ライターのなかには、森ノオトが事務所を構える青葉区に引っ越してきたり、取材先のお店に勤めることになったりと、「森ノオト」に関わることで暮らしを変える人が現れています。

また、メンバー自身が個性を生かし、情報を受けとる読者と取材元である農家や事業主を結びつけるだけでなく、あらゆる場面で人と人を繋ぐ役割を担い、まさに種を蒔き育てるように地域に深く根付く活動を展開するように育ってきています。

月に1回行われる編集者会議では、進行中の記事やイベントの進捗状況の確認、過去記事の読み込みと批評、また、ライター同士の連帯感を強めたり、個々の自信の向上を図るワークショップが組み込まれています。

北原さん自身の経験を生かして創られるこうしたきめ細かい活動が、働き方を見直し始めた女性たちの琴線に触れ、活動が広がっているのかもしれません。

年に1度、藤が丘駅前公園(横浜市青葉区藤が丘2)で行われている「あおばを食べる収穫祭」には、森ノオトで取り上げたエコやオーガニック、地産地消をテーマにした飲食店や農家など約30団体が集まります。一般公募せず『森ノオト基準』で選んだ事業者がセレクトされた1年に1度のフェスは、年々人気を集めています。

プロのグラフィックデザイナー、フォトグラファー、元アナウンサーに、ヨガ講師、翻訳者…。

経歴も個性も豊かな女性たちが、生活者の目線から、明るく生き生きと、エコロジー(人間社会と自然の調和)やサスティナビリティ(未来世代への思いやり)、オーガニック(有機的な食と暮らしと地域)、ローカリゼーション(まずは自分の足元から)をテーマに、社会や環境と向き合った情報を提供し、その輪を広げています。

その根底にあるのは「子どもたちが笑顔で生きていく未来を守るために、地球規模で抱える課題の解決に立ち向かう姿勢」です。メディアの編集長としては「エコロジーを根本に据えて、まずは、身近なところから。でも、世界中に読まれていいものだと思っています。最終的に持続可能な社会の実現に繋げたい」と、つねにローカルに根ざしながら、「持続可能な社会」というグローバルにも通用する視点での発信を北原さんは意識し続けています。

森ノオトでは、独自事業・財源づくりや寄付についても積極的に研究し、実践し始めています。2017年にリリースした布小物ブランド「AppliQué」や2018年に始めた月額の継続寄付制度「森のなかま」など、共感を価値に変える取り組みを進めています。

団体として成長し、多くの人たちの参加の輪が広がるなかで「良い情報を集め、編集し、発信していくことはタダではできません。森ノオトの情報があることで、地元の農家や子育て中で動けずにいる人、誰かたった一人でも課題の解決につながることがあります。必要な人に届けるための発信に支援が必要です」という思いを北原さんは深めています。

北原さんは寄付について「省エネなどを進めて浮いたお金があったなら、ぜひ環境問題に取り組む団体に託してみてください。よりよい循環を生み出すことができます。お金に意思を持たせて、賢い選択をしてください」と話しています。

活動・寄付についてのお問合せ

NPO法人 森ノオト

森ノオトホームページ:http://morinooto.jp/

本田真弓 プロフィール

日本舞踊にダイビング、ワインやハーブの勉強に、読書、音楽鑑賞などなど。とにかく、多趣味な主婦。地元に暮らす人たちの想いを伝え、人と人を繋ぐような情報を発信できるライターになるのが夢。