「送迎だけじゃない」移動介助サービスを・NPO法人 ワーカーズ・コレクティブ ケアびーくる

神奈川県大和市を中心に、“あらゆるお出かけ”の介助サービスを行うNPO法人がある。「NPO法人 ワーカーズ・コレクティブ ケアびーくる」(以下「ケアびーくる」)だ。

「ケアびーくる」のみなさん

「ケアびーくる」のみなさん

「ケアびーくる」とは

一般的に「外出介助サービス」というと病院や施設へ通う際の車による送迎サービスをさすことが多い。

一方、「ケアびーくる」が提供するサービスは、車での送迎だけでなく、また通院のみでもない。例えば、通院介助の場合は、出かける準備から病院内付き添いや問診票記入もサービスに含まれる。また、買い物や習い事、墓参りなどあらゆる外出時に介助を提供している。「あらゆる外出」を「最初から最後まで」介助するというのが「ケアびーくる」の特徴といえる。

詳細は末尾にURLを記載したホームページを参照していただきたいが、基本の利用料金は1kmあたり60円と何度も利用しやすい価格設定にしている。迎車回送料も3km以内は無料。

第1回取材:ショッピングモールへ〜食事と買い物の付き添い

この度、筆者は二回活動に同行させてもらった。第一回目の活動の内容は、食事と買い物の付き添いだ。

今回取材に応じてくれたのは、「ケアびーくる」理事の高橋孝郎さん。活動に使用する自動車は、車いすをそのまま乗せることのできるバンだ。

今回の利用者は、知的障害を持ち、車いす生活をおくっている男性だ。男性が暮らす施設に迎えに行き「何が食べたいか、何が買いたいかなど」本人の具体的な要望を聞いてから、目的地に出発した。

ショッピングモールに到着し、利用者の男性を車から降ろす高橋さん

ショッピングモールに到着し、利用者の男性を車から降ろす高橋さん

利用者をショッピングモールまで連れていき、レストランで一緒に食事をし、買い物に付き添う。高橋さんは、利用者の希望を丁寧にヒアリングし、それをかなえていた。また、終始リラックスした穏やかな雰囲気のなか、雑談を交わしていた。

今回の取材で、高橋さんの、そして「ケアびーくる」の活動の温かみを感じた。移動の介助だけでなく、利用者のやりたいことすべてに付き添う。まるで家族のように利用者に寄り添う姿勢に、心を打たれた。

第2回取材:生きがいのおけいこをあきらめない〜習い事の送迎

第2回目の取材に応じてくれたのは、「ケアびーくる」理事の菅野待子さんだ。

利用者は、長唄の教室に通っている高齢の女性。筆者の付き添った送迎中に、「ケアびーくる」に対する思いを話してくれた。

この女性は、「ケアびーくる」創設当初からサービスを利用している。70歳を過ぎてから息切れがしたり転びやすくなってしまい、外出が億劫になってしまったところ、主治医のアドバイスで若いころ習っていた長唄の稽古に通うことになった。道具が大きいため、移動の介助が必要だったところ、「ケアびーくる」のサービスを勧められ、利用を開始したという。

稽古に通い始めて約20年。「ケアびーくるのサービスがあるので、お稽古に通い続けることができる。長唄を続けることは生きる励みになります。私の元気の源はお稽古。ありがたいですね」と語る。

この女性は90歳になるということが、とても元気で活力にあふれていた。元気の源は長唄の稽古。そしてそれを支えているのは他でもない「ケアびーくる」のサービスなのだ。好きなことを続けることの素晴らしさを認識したとともに「ケアびーくる」は利用者から本当に感謝されるサービスを提供しているNPO法人だと感じた。

「ケアびーくる」の課題

高齢者や障害者に必要なサービスを提供している「ケアびーくる」だが、課題は何であろうか。毎月1回開催される理事会後に、理事長の奥平ます美さんや、理事の首藤雅代さんをはじめとする理事のみなさんに話を聞くことができた。

「ケアびーくる」の課題は2つ。事業費と後継者、2つが不足していることだという。

現在、介護保険を外出介助サービスに適用するためには、その外出介助は「通院やリハビリ」用途に限られる。一方、「ケアびーくる」は、前述のように「あらゆるお出かけ」の介助サービスを提供しているので、買い物や習い事、墓参りの付き添いなど介護保険適用外のサービスも多い。

それでいて、格安のサービスを提供し続けているため、経営を続けていくための事業資金調達などには苦労しているという。しかし「利用者に負担をかけず、やりたいことを、できるだけ叶えてあげたい」という理念を大事にしているため、この経営のやり方を変える予定はないということだ。

また「ケアびーくる」の後継者不足も懸念される。「私たちが(ケアびーくるを)必要になったときに(ケアびーくるを)やっている人がいるか少し不安です」と理事の皆さんは語る。

「ケアびーくる」では、サービス会員を募集している。運転メンバーはもちろん、電話対応などを行う事務局メンバーも募集しているということだ。詳しくは、電話046-274-8288、もしくはホームページ(http://care-vehicle.org/)を参照していただきたい。

(取材・文:藤澤 卓)

寄附・活動についてのお問合せ

NPO法人 ワーカーズ・コレクティブ ケアびーくる
〒242-0002 大和市つきみ野4-5 ビレジB2-205(首藤方)
Tel : ‪046-274-8288
Fax : ‪046-276-5614
E-mail : yamato.wa1998@gmail.com
HP : http://care-vehicle.org/

藤澤 卓(ふじさわ たく)プロフィール

1995年神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学政治経済学部に在学中。専攻は産業エコロジー。
県政への興味から、神奈川県かにゃお認定レポーターに応募。県内のNPO法人を取材している。