「勝つ」ことよりも大切なこと・認定NPO法人スペシャルオリンピックス日本・神奈川

もうひとつのオリンピック

オリンピック、パラリンピックに次ぐ「第3のオリンピック」といわれる「スペシャルオリンピックス」。

しかし、「スペシャルオリンピックスは全く違う大会だ」と話すのは、認定NPO法人「スペシャルオリンピックス日本・神奈川」(SON神奈川)事務局長の山ノ内尊雄さんだ。

 

スペシャルオリンピックス(SO)日本のサイトなどによると、SOはアメリカで始まった。故ケネディ大統領の妹であるユニス・シュライバーさんが、スポーツを楽しむ機会が少なかった知的障害のある人たちを対象に、1968年7月、スポーツを通じた社会参加を応援する「第1回スペシャルオリンピックス国際大会」が開かれた。

日本では、1994年に「スペシャルオリンピックス日本」が熊本県で発足。2001年に「特定非営利活動法人スペシャルオリンピックス日本」が設立されて、継続的に知的障害者がスポーツを楽しみ、スポーツを通して社会に参加する活動が始まった。

神奈川県では、SO日本のNPO法人化に先駆けた1998年8月に「第2回夏季ナショナルゲーム神奈川大会」が開かれている。この活動を早くから支えるために、1995年4月、任意団体としてSON神奈川が藤沢で設立されており、この大会から5年後の2003年にSON神奈川はNPO法人化された。

SON神奈川のウェブサイトなどによると、現在では、スポーツプログラム13競技(陸上・バスケット・テニス・卓球・水泳・ボウリング・サッカー・馬術・アルペンスキー・スピードスケート・フィギュアスケート・フロアホッケー・柔道)とリズムダンスを神奈川県内の36会場で実施している。

 

事務局長山ノ内尊雄氏

事務局長山ノ内尊雄氏

 

知的障害がある「アスリート」たちが参加するSO。オリンピックなどが「勝敗」を競う大会なのに対し「SOは『勝敗』にはこだわらず、選手が大会までに積み重ねてきた『トレーニングの日常』を重視している」と山ノ内さんは強調する。

また、大会参加も記録や成績で決めるのではなく自ら名乗り出て出場者が決まる仕組みだ。
種目ごとに順位表彰はあるが、参加した選手全員も表彰されるというのが、五輪やパラ五輪との大きな違いとなっている。
「大会に出ること、勝つことを目標にするのではなく、それまでの日々のトレーニングをしてきた過程、努力が大事」という姿勢が表彰にも表れているという。

一方、SON神奈川の課題となっているのが、「ボランティアと練習環境の不足」の2点だ。
SOでは、ふだんの練習時からボランティアのサポートが欠かせない。また、大学や公立の競技場・体育館などを事務局が苦労して予約している。これは、オリンピック・パラリンピックのように報道されることも少なく、知名度が高くないことが一因だという。

より多くのアスリートたちに運動をする楽しさを体験してもらうためにも、より広く市民にスペシャルオリンピックスを知る機会を提供する必要がある。山ノ内さんは「スペシャルオリンピックスのボランティアには、アスリートと一緒に同じ目標に向かってチャレンジできる喜びがある。その楽しさを発信していきたい」と話す。

このSON神奈川の活動自体が、知的障害者の自立と社会参加を支援する事業として価値がある。何よりも「どんな人にも輝くチャンスがあるということを知ってほしい」と山ノ内さんは力を込めた。

(取材・文:北川麻登)

寄附・活動についてのお問合せ

認定NPO法人スペシャルオリンピックス日本・神奈川

事務局:〒231-8458 神奈川県横浜市中区常磐町1-7 横浜YMCA903
電話番号:045-650-5216
URL:http://www.son-kanagawa.com

北川麻登(キタガワアサト)プロフィール

1992年生まれ。大阪府出身神奈川県横浜市在住。
ホテルの専門学校に通い、新卒でホテル業界に。その後介護士の資格を取得し特別養護老人ホーム等で勤務。障害者の自立支援の仕事にも携わる。現在は運送会社の事務員として勤務しながら、医療系ライターとしても活動。趣味も兼ねて小説も執筆中。
かにゃお認定レポーターとして、自身の勤務やボランティアの経験を活かして障害者支援の現状を伝えていきたい。