病と闘う子どもとその家族に「愛情」を届けるアプローチ・認定NPO法人スマイルオブキッズ

認定NPO法人スマイルオブキッズ

認定NPO法人スマイルオブキッズ
代表理事田川尚登さん(右)と事務局員谷畑育子さん(左)

 

「闘病する子どもとその家族」を支援し、取り巻く環境を改善するため、認定NPO法人「スマイルオブキッズ」は、難病の子どもたちが入院する「神奈川県立こども医療センター」(横浜市南区)のそばに、病児家族の宿泊施設「リラの家」を運営するとともに、きょうだい児の預かり保育事業を展開している。さらに、これからは関東地方にまだない「小児ホスピス」の建設を目指している。


スマイルオブキッズの代表理事・田川尚登さんたちに、この2つの事業を中心に話を聞いた。

闘病する子どもの「家族」全体に目配り

認定NPO法人スマイルオブキッズが設立されたのは2003年。代表の田川さんは次女=当時6歳=を1998年2月に脳腫瘍で失っている。このつらい経験を経て、「同様に難病に苦しむ子どもたちとその家族たちを支援したい」とNPO法人設立を決めた。神奈川県立こども医療センター(横浜市南区)で治療を受けている難病の子どもたちとその家族の支える「滞在型宿泊施設・リラのいえ」を運営している。

「リラのいえ」は年間稼働率80%、4,700人の利用がある。日程によっては予約がとれないこともしばしばで、2017年3月には増築工事が完成して、さらに受け入れ家族を増やす体制を整えた。

スマイルオブキッズの事業で筆者が関心を持ったのは、この拠点で「病気を患っている子どものきょうだい」支援にも力を入れている点だ。なぜこのような事業を実施しているのだろうか。

実際に病気を患っている本人は、当然ながら苦しい思いをしながら回復を目指し、治療に励んでいる。親もまた、懸命に病と闘う病児に関心や愛情を傾けがちだ。

こうした環境で、病児の「きょうだい」は親からの愛情を十分に感じ取れずに苦しむ現実があるという。きょうだい児は、子どもなりに「自分が我慢すればよい」と心を押し殺してしまう場合が少なくない。この課題を改善するために始めた事業が「きょうだい児」の預かり保育活動だという。

法人のデータによれば、きょうだい児預かり保育事業は、こども医療センターに入通院している子どものきょうだいを年間955人を、専門保育士10人でケアをしている。

病児も家族も不安や不満を抱えることなく「心に寄り添い、愛情を届ける支援を目指している」と事務局の谷畑育子さんは言う。

「緩和ケア」だけの場ではない小児ホスピス

さらに、より包括的な支援としてスマイルオブキッズが最も今、力を入れているのが「子どもホスピス」設立だ。在宅での緩和ケアは理想だが、現状、家族にとって大きな負担になることも多い。その負担を軽減しながら「最期まで子どもが楽しく、しあわせに過ごせるような施設」建設を目指して目標額2億円の寄付活動に力を入れている。

ホスピス建設を進めるにあたって「世間での理解の差」と「医療の進歩と支援のズレ」が大きな課題となっている。田川さんは、「若い世代や年配の方だけでなく、全ての人にホスピスが『ただ痛みを取り除く緩和ケアだけの場』ではないと知ってほしい」と話す。

子どもたちは痛みのなかにあっても「楽しむこと、笑うことが大好き。未来に向かって生きる子どもを支える場所として小児ホスピスを横浜につくりたい」と田川さんは、子どもが充実して生き切るための場として実現するつもりだ。

そしてその目標を達成するためには「どうやったら子どもが楽しく過ごす場所ができるのか」というゴールを考え、多くの人たちの支援や共感を得るために「多様なアプローチをすることが大切」と話している。

■小児ホスピス建設を呼びかける動画「横浜に子どもホスピスを」

(取材・文:北川麻登 編集・NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ/宮島真希子)

寄附・活動についてのお問合せ

認定NPO法人スマイルオブキッズ
〒232-0066 神奈川県横浜市南区六ッ川4−1124−2
電話:045-824-6014
URL:http://www.smileofkids.jp/

北川麻登(キタガワアサト)プロフィール

1992年2月1日生大阪府出身神奈川県横浜市在住。
ホテルの専門学校に通い、新卒でホテルオークラ東京に入社。ベルボーイとして勤務し、その後介護士の資格を取得して転職し特別養護老人ホーム等で勤務。障害者の自立支援の仕事にも携わる。現在は運送会社の事務員として勤務しながら医療系のライターとしても活動。趣味も兼ねて小説も執筆中。
かにゃお認定レポーターとして、自身の勤務やボランティアの経験を活かして障害者支援の現状を伝えていきたい。