ビジュアルコンサートを通し「かけがいのない森や海の存在」を伝えていきたい~冒険写真家でNPO法人海の森・山の森事務局・理事長の豊田直之さん

 「第3回かなチャリ公開トーク」は、冒険写真家でNPO法人海の森・山の森事務局(横浜市港北区)の理事長・豊田直之さんがゲスト。現在、写真展「〜海の生物多様性〜われら海の子、みな兄弟」が「光 HOUSE YOKOHAMA」(横浜市中区山下町)で開催中(~30日まで)です。その会場で豊田さんに、海の生物多様性を軸に、NPOを設立した思いや、写真と音楽が融合した「ビジュアルコンサート」、今後の活動などについて、お話をうかがいました。

――写真家になられる前、そもそもどういうきっかけで海に魅せられたのですか?
 すべて釣りに起因しているんです。小学生の時に叔父に釣りに連れていってもらって以来、釣りが大好きになり、中学生の時はいつも三浦半島に行って磯で釣っていました。中高時代は水泳部でいつも潜ってばかり。大学は東京水産大(現・東京海洋大)に進学し、水産学部で魚群の生態を研究したりしました。卒業後は、船舶用電子機器メーカーで4年間サラリーマンを経験したのですが、「このまま会社の歯車でいいのだろうか」と考え、退職して夢だったイセエビ漁師に転職しました。

――写真との出会いはいつ頃ですか?
 伊豆七島の神津島で魚を採っていたのですが、なかなか生活が成り立たない。船大工やダイビングのインストラクターも経験し、2年ちょっとで横浜に戻ってきました。転機は、釣り雑誌のライターをしていた27歳の時。自分の原稿とカメラマンの写真のイメージが合わないと感じ、「それなら自分で撮ろう」と、一眼レフのカメラを購入したんです。写真の専門学校に通うかどうか迷っていた時、偶然にも東京の居酒屋で水中写真家の中村征夫さんと出会い、アシスタントをすることに。中村さんのもとで2年半写真を学び、31歳で水中カメラマンとして独立しました。これまで、沖縄など日本各地の海をはじめ、ガラパゴス、オーストラリアなど海外の海にも積極的に潜っていろいろな現場を撮影してきました。

――写真家として活躍されている豊田さんが、どうしてNPOをつくろうと思ったのでしょうか?
 何年か前、海に潜っていた時、「この大量の水はどこから来るのだろう」と、素朴に疑問が浮かんできた。次第に、川から始まる「海の最初の1滴」を撮影したいと考えるようになり、それ以来、「水の輪廻・水の循環」が大きなテーマとなりました。
それと、20年近く海の写真を撮ってきて、これまで撮りためた写真がたくさんあるわけですが、見せる場もない。しかし、これからの時代、自分で人に伝えていく場をつくっていかなければいけないと感じていました。
 そこで、撮りためた自作品をベースに映像を作り、それと音楽を一体化させた「ビジュアルコンサート」を開催して、自然の大切さ、特に「海の森と山の森をつなぐ水の大切さ」をやさしく伝えていきたいと思ったのです。社会貢献を考えながら、しっかりとした活動をしたい。このプロジェクトの運営のために、今年の1月31日、NPO法人・海の森・山の森事務局を設立しました。

――「ビジュアルコンサート」について、もう少し詳しく教えてください。
 私が20数年撮りためた写真作品をベースに、最新の動画なども加えて、自らが監督として編集したコンセプチュアルなスライドショーとして組み立てた映像を作りました。その映像に、プロの作曲家に曲を書いていただき、映像と音楽とのコラボレーションを企画。「海の森・山の森」というタイトルで、「水の輪廻」をテーマにした作品を映写しながら、会場では、生の楽器演奏を奏でるのが「ビジュアルコンサート」です。
 海の森のイメージであるサンゴや海藻は、山の森と水でつながっている。その間に影響を及ぼしているのが、私たち人間の生活なんだ、我々には大きな責任があるんだと訴えたい。コンサートを通じて、それらを考えるきっかけになればいいなと思います。

――写真家の活動と違うNPOの運営はいかがですか?
 そうですね。我々のNPOは寄付がすべてなので、寄付を集める難しさがありますね。私が何者で、どういうことをしようとしているか分かっている方には、お願いすればご協力いただけるのですが、実績もない中、一般の方に寄付のお願いはなかなか難しい。
 そこで、どうしたらよいか考えた結果、とにかく、いろんな所に出て行って写真を見てもらうしかないなと。一生懸命やっていく中で、最近少しずつ寄付が集まりつつあるところです。来年は、認定NPOへの昇格を目指しているので、1口3000円以上の寄付を100件集めないといけない。現在70件近く集まっているので、あと30件頑張らないと。みなさん、ご協力をよろしくお願いします!

――NPOの活動としての今後の活動についてお聞かせください
 NPO活動としては、来年早々から「ビジュアルコンサート」を3~4つ展開していきます。今後は、より多くの人たちに、楽しんでいただけるように、音楽もクラシック系だけでなく、ジャズ、アフリカの民族音楽とか、オカリナ奏者とか、いろんな展開を考えています。さらに、海外公演もできたらと。諸外国に、日本の自然美を伝えていかないといけないと思います。
 今「水の輪廻」をテーマに、今年は、山北町玄倉川上流や相模原市の宮ケ瀬湖上流など、神奈川の水源地に足を運び、水そのものの撮影を続けています。実際に撮影にいって、神奈川の水源がとても美しいことに驚きました。水源地の水ってこんなにきれいなのかと。驚いたことを、そのまま伝えていきたい。どうやったら水を表現できるのか、現在いろいろと方法を生み出し中です。
 神奈川の水はとても美しいもので、私たちの生活がそれを汚しているのだと気付いてほしい。生活排水や洗剤の使い方などをみんなが少しだけ意識することで、自然はいい方向に向かうのではないかと思うんです。来年4月には、四季折々の自然と水をテーマにした写真展を横浜で開催する予定です。お楽しみに!

■プロフィル
豊田 直之さん(NPO法人海の森・山の森事務局理事長、写真家)
水中撮影を必殺技とする冒険写真家。1959 年横浜生まれ。東京水産大学( 現・東京海洋大学) 水産学部卒。有限会社ティエムオフィスを設立。同代表。NPO法人海の森・山の森事務局を設立。同代表理事。

【関連リンク】
▽NPO法人海の森・山の森事務局
http://www.uminomori-yamanomori.com/
▽ビジュアルコンサート
http://www.uminomori-yamanomori.com/about/visual_concert/
▽生物多様性普及目指し「ヨコハマbフェスティバル」-イベントの登録募集も(ヨコハマ経済新聞)
http://www.hamakei.com/headline/7353/